2026年度の富士山チャレンジが、いよいよ幕を開けました。
まずは植村直己冒険館に集合し、開会式・全体説明会からスタート。館内の映像や展示を通じて、植村直己さんがどんな人物で、どんな冒険をしてきたのかを学びます。子どもの頃は決して目立つ存在ではなかったという植村さん。夢を持ち、少しずつ努力を積み重ねてステップアップしていった生き方を、これから半年間を共にする子どもたちに伝えました。
自己紹介を終えたら、芝生の上でお弁当を広げてのランチタイム。まだ少し緊張の残る顔もありましたが、笑顔でピースサインをする子も多く、和やかな時間が流れます。
午後はアイスブレイクで一気に距離が縮まったところで、ヘルメットとハーネスを身につけてツリーイングにチャレンジ。木々の間で歓声を上げながら、初めての感覚を楽しみました。
最後は今後の登山に向けたガイダンスを受けて解散。集合写真では、旗を囲んで19名の子どもたちが元気いっぱいの笑顔を見せてくれました。今回は全員揃いませんでしたが、今年は、大学生~社会人のボランティアスタッフ3名がサポートしてくれます。
次回からはいよいよ本格的な登山です。半年後、みんながどんな顔つきになっているのか、今から楽しみです。
第2回は、六甲山系のロングトレイルに挑む2泊3日。3月30日の朝、但馬組10名が冒険館に集合し、神戸へ向けて出発しました。
昼頃、神戸市立自然の家に到着すると、神戸組13名と合流し、総勢23名に。久しぶりの再会に、そしてまだ少し照れの残る顔合わせに、それぞれの表情がのぞきます。
午後はグループワークとアイスブレイクで、少しずつ緊張がほぐれていきました。続けて、パッキングの仕方や登山靴のフィッティング、歩き方など、翌日に向けた登山ガイダンス。夕食後にはヘッドライトを灯してのナイトハイクも行い、初日の夜が更けていきました。
二日目は、自然の家から六甲山頂までの往復15kmのロングトレイル。あいにくの雨となり、装備の使い方や、こまめな体温調整の大切さを、身をもって学ぶ一日になりました。長い道のりの末、六甲山最高峰の碑にたどり着いたときには、雨に濡れながらも達成感に満ちた笑顔が並びました。天候がかなり荒れたため、復路は安全を考慮して車両での移動に。夕方には体育館でドッジボールなどのレクリエーションを行い、大いに盛り上がりました。
三日目の朝は、希望者だけの早朝トレッキングで「シェール槍」へ。夜明けの静かな岩場からの眺めは、参加した子どもたちの心に深く残ったことでしょう。朝食後はアーチェリーに挑戦し、最後の昼食を終えると、神戸組とはここでお別れ。但馬組は帰路につきました。
第3回は当初、6月7日に氷ノ山への登山を予定していましたが、天候不良により中止。1週間後の6月14日、植村直己さんもかつて登ったという蘇武岳への登山として、あらためて実施することになりました。日程変更の影響もあり5名が欠席となりましたが、18名が参加。多くがお揃いのピンクのTシャツに身を包み、この日を迎えました。
天候にはこの上なく恵まれ、8時半ごろに登山を開始。道中ではクワガタなど、山の生き物たちとの出会いもあり、しゃがみこんで観察する子どもたちの表情は真剣そのものでした。山頂にたどり着くと、旗を囲んでの記念撮影。標高盤の前で寝転がってピースサインをする子どもたちの姿からは、すっかりリラックスした様子がうかがえます。
休憩時間には、木陰のベンチでお弁当を頬張ったり、眼下に広がる山並みをただ黙って眺めたり。それぞれが思い思いの時間を過ごしました。下山はほぼ予定通りの時間で完了。
順調な一日ではありましたが、水分補給のタイミングや歩き方など、一人ひとりに次への課題も見えてきた回でもありました。この経験が、次の大山、そして富士山にどうつながっていくか、スタッフとしても期待が膨らみます。
夏本番、いよいよ富士山を1か月後に控えた大山チャレンジ。1名の欠席がありましたが、22名が集まりました。約1か月半ぶりの再会に、仲間との合流で一気にテンションが上がる子どもたち。バスに揺られること3時間、大山の麓に到着しました。
入所式を済ませたら、さっそく沢登りへ。川に足を踏み入れた瞬間、水の冷たさに悲鳴が上がりますが、それも束の間、腰まで浸かる場所や岩を登る場所など変化に富んだ渓流に、いつしか夢中になっていました。約2時間の沢遊びを終え、夕食後は翌日の登山に向けたミーティング。初日の夜は、どうしても気持ちが高ぶって、なかなか静まらない様子でした。
二日目は、大山登山本番。朝食を終えるとすぐに出発しましたが、夏休み期間で他の登山者も多く、また容赦ない暑さが体力を奪っていきます。延々と続く階段に、隊列はどうしても間隔が開きがちに。水分や行動食の取り方、服装調節の仕方――この夏の大山で得た経験は、間違いなく1か月後の富士山に活きてくるはずです。山頂まで到達できた子、8合目でタイムアウトとなった子、それぞれが自分自身としっかり向き合った一日でした。
全員が無事に下山を果たし、下山後は大山を見上げながら食べる「みるくの里」のソフトクリームが、何よりのご褒美になったようです。芝生の上でのレクリエーションではじける笑顔も印象的でした。夜には希望者による小さな花火大会も。あっという間に迎えた最後の夜でした。
三日目は、龍神様の伝説が伝わるという赤松池でのカヤック体験。ほとんどの子にとって初めての経験でしたが、少し練習しただけでみるみる上達し、祠まで漕いで願い事をする子どもたちの姿もありました。青空の下、湖面での時間を思い思いに楽しみました。
池のほとりで囲んだ最後の昼食は、名残惜しさとともに味わうカレーライス。使わせていただいた施設をきれいに掃除し、お世話になった「ヨネさん」にお礼を伝えて、赤松池を後にしました。
いよいよ、半年間の集大成となる最終回。今回は全員が参加しての挑戦となりました。8月17日早朝、9名が冒険館を出発し、宝塚で14名と合流。バスに揺られて山梨県を目指します。夕方に宿泊施設へ到着し、夕食後は翌日の登山に向けたガイダンスとパッキングを済ませ、早めの就寝となりました。
二日目、いよいよ富士山へ向けて出発です。富士吉田ルート五合目、標高2,305mの登山口では、高山病を防ぐため約1時間をかけて体を高度に慣らします。これまで登ってきた山とは異なり、木々の少ない富士山には遮るものがなく、強い傾斜と相まって息が上がります。道中、1名が体調不良のためスタッフとともに下山することになり、互いの安全を気遣いながらの別れとなりました。何度も休憩を挟みながら、八合目の山小屋に到着したのは15時過ぎ。高山病を避けるため、着いてすぐは横にならず、景色を眺めたり写真を撮ったりしながら体を慣らしていきます。慣れない標高と疲労からか、夕食があまり喉を通らない子もいましたが、この日は天候に恵まれ、山小屋の前から見上げる星空は格別なものでした。
三日目は午前4時起床。眠い目をこすりながら支度を整え、5時過ぎに歩き始めます。空が明るみ始めるなか、心に残る美しい日の出を眺めながらの出発となりました。歩き出しは寒さと眠さで足取りが重く、ここから調子を取り戻していく子と、そうでない子に分かれていきます。安全を第一に考え、途中のポイントで7名が下山となりました。悩ましい判断ではありましたが、それもまた、この挑戦の一部です。残る15名は、8時ごろに山頂へ到達しました。予定よりも時間がかかっていたため、下山の体力と時間を考慮し、お鉢巡りは行わずに下山を開始。
暑さと寒さ、そして砂埃に苦しめられる長い長い下りは、集中力との戦いでもありましたが、互いに声を掛け合いながら、全員が無事に下山を果たしました。一人ひとりが、本当によく頑張りました。
四日目の朝は、富士山の裾野に広がる青木ヶ原樹海でのネイチャーガイドツアー。富士山の成り立ちや地質学的な特徴について教えていただき、登った山を、また違った角度から見つめ直す時間になりました。溶岩でできた洞穴「コウモリ穴」の大きさと不思議な空間には、皆息をのんでいた様子です。午後はぶどう狩りを楽しみ、忍野八海では伝説の残る池を巡りながら、お土産を選ぶ姿も見られました。最後の夜には、ちょっとしたパーティタイムも。半年間を共に歩んだ仲間との、かけがえのない時間になったことでしょう。大きく綴られた「富士山チャレンジ達成」の文字には、全員の名前がしっかりと刻まれていました。
そして迎えた最終日。宿舎を後にし、帰路につきます。車窓を流れる懐かしい景色を見ながら、子どもたちは何を思っていたのでしょうか。半年にわたる長いチャレンジが、幕を閉じました。子ども達、そしてこの活動を支えて下さった保護者の皆さま、ボランティアスタッフの皆さまには心より感謝申し上げます。この経験が子どもたちの中に長く残り、次の挑戦に繋がることを願っています。